FP&A・経営管理

プロジェクト管理会計ポッドキャスト VOL.21「FP&Aによる事業収益最大化戦略」

『プロジェクト管理会計ポッドキャスト』VOL.21では、「FP&Aによる事業収益最大化戦略」をテーマに、SaaS企業で経営企画を統括するゲストをお迎えしました。FP&Aという言葉は浸透してきたものの、実際に収益最大化にどうつなげるのかを具体的に語れる実務家は多くありません。本記事では、放送でのやり取りをもとに、FP&Aが事業収益にインパクトを与えるための考え方と、現場で使える具体的な打ち手を紹介します。

VOL.21のゲストと今回のテーマ

今回のVOL.21には、成長中のSaaS企業で経営企画部門を統括するゲストをお迎えしました。ゲストは、事業部ごとの収益性がばらつく中で、全社最適と事業部最適のバランスをどう取るかという課題に長年向き合ってきた方です。放送では、FP&Aという機能が単なる予算管理にとどまらず、事業の収益構造そのものを変えるレバーになり得るという主張を軸に、具体的な事例を交えた議論が展開されました。この対談から見えてきたのは、FP&Aの価値は「数字を出す速さ」ではなく「打ち手につなげる速さ」にあるという点です。

事業収益最大化のカギは「単価」ではなく「粗利構造」の可視化

対談の中でゲストが強調していたのは、収益最大化を語るとき、多くの企業が売上単価や契約件数にばかり目を向けてしまうという課題です。しかし本当に見るべきは、案件ごと・顧客セグメントごとの粗利構造であり、どこにコストが偏り、どこで利益が生まれているかという解像度です。実際にゲストの会社では、顧客セグメント別に粗利率を可視化したところ、売上規模は小さいが利益率の高いセグメントへの投資を強化する意思決定につながったといいます。売上ではなく粗利構造を見る発想が、収益最大化の出発点になります。

FP&Aが事業部と対立せずに機能するための工夫

FP&Aが事業部から「数字で管理してくる部署」として敬遠されてしまうケースは少なくありません。ゲストは、この壁を越えるために、FP&A側から事業部に一方的に指摘するのではなく、事業部が使いたくなるダッシュボードを一緒に作るアプローチを取ったと語っていました。例えば、事業部の目標達成率だけでなく、着地見通しの改善幅も見える化したことで、事業部側からFP&Aへの相談が増えたそうです。対立ではなく協働の関係を作れるかどうかが、FP&Aの実効性を左右します。

収益最大化のための予実管理の頻度とタイミング

放送内で議論になったのが、予実管理の頻度です。ゲストの会社では、以前は月次での予実対比が中心でしたが、収益に直結する重要案件については週次で進捗と見通しを確認する体制に変えたとのことです。理由は、月次では手を打つタイミングを逃してしまう案件があったためです。私自身、プロジェクト型ビジネスの支援を通じて、赤字化のシグナルは決算が締まるずっと前に現場では見えていることを何度も確認してきました。頻度を上げることは、収益を守るための最も地道で確実な手段です。

私が現場で見てきた「収益最大化」の落とし穴

エンプレックスでCFOを務めていた時代、私自身も収益最大化を追い求めるあまり、個々の案件の採算を後回しにしてしまった経験があります。全社の売上目標を優先するあまり、採算の悪い案件を受注してしまい、後になって現場の負担とコストが膨らんだのです。この経験から学んだのは、収益最大化とは「売上を最大化すること」ではなく、「採算の良い仕事を選び、悪い仕事を減らすこと」だという当たり前の事実でした。ゲストとの対談でも、この点で強く共感し合う場面がありました。

リスナーへのメッセージと次回予告

放送の最後には、これからFP&Aを立ち上げる企業に向けて、ゲストから「最初から完璧な仕組みを作ろうとせず、まずは1つの事業部で予実の可視化を回してみることが大切」というメッセージが送られました。小さく始めて成功体験を作ることが、全社展開への一番の近道になるという考えは、私自身が数多くの企業を支援してきた経験とも一致します。次回のVOL.22では、さらにテーマを掘り下げ、FP&A組織の立ち上げ方について議論する予定です。

まとめ

VOL.21では、FP&Aが事業収益最大化にどう貢献できるかを、現場の実例を交えて議論しました。粗利構造の可視化、事業部との協働、予実管理の頻度という3つの視点は、業種を問わず応用できる考え方です。FP&Aとは、数字を締める仕事ではなく、収益を育てる仕事である。この放送が、日々の実務にひとつでもヒントを持ち帰っていただくきっかけになれば幸いです。

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