ドラッカーから学ぶ「経営者教育」シーズン2 第7回
結論、自己目標管理は「評価制度」ではなく「自己統治」の思想
第7回でまずお伝えしたのは、ドラッカーの自己目標管理が、上司が部下を管理するための道具ではなく、働く一人ひとりが自らの目標に対して自らを律するための思想だという点です。ゲストのITサービス企業の経営者からも、「評価のための目標設定になっており、社員が自分ごととして目標を語らなくなっていた」という率直な悩みが語られました。目標管理の出発点を見直すことが、この回全体の大きなテーマとなりました。
なぜ目標管理は評価制度にすり替わってしまうのか
多くの企業で目標管理制度が形骸化する背景には、目標が「達成できたかどうかを査定するための基準」として運用されている実態があります。ゲストの経営者は、二代目として先代から制度を引き継いだ際、社員が上司の顔色をうかがいながら達成しやすい目標を設定する傾向に気づき、強い違和感を覚えたと語りました。ドラッカーが強調したのは、目標は上から与えられるものではなく、事業全体の目的から自ら導き出すものだという考え方です。
プロジェクト型組織における自己目標管理の難しさ
対談の中盤では、プロジェクト単位で動くIT企業特有の難しさが話題になりました。プロジェクトごとに担当者が変わり、期間も数か月から数年とばらつくため、個人の年間目標とプロジェクトの目標がずれてしまうという課題です。この点についてゲストからは、プロジェクトの節目ごとに個人目標を見直す運用に切り替えたところ、社員の当事者意識が明確に高まったという具体的な事例が紹介され、番組内でも大きな反響を呼びました。
自己目標管理を支える「見える化」の重要性
目標を自ら設定し自らを律するためには、自分の仕事の進捗や成果が本人に見える状態になっていることが前提になります。番組の中で私からは、プロジェクトの予算・実績・見通しをリアルタイムに可視化する仕組みがあることで、社員自身が自分の目標に対する進捗を日々確認できるようになるという実務的な視点をお伝えしました。見える化がなければ、自己目標管理は精神論で終わってしまいます。
経営者自身が「なぜその目標か」を語れるか
ゲストとの対談で印象的だったのは、社員が目標に納得できない最大の理由は目標の水準ではなく、「なぜその目標なのか」という説明が不足していることだという指摘でした。私自身、エンプレックスでCFOを務めていた時代、上場準備という会社全体の大きな目標を、各部門の個別目標にどう翻訳して伝えるかに苦心した経験があります。経営者が目標の背景にある物語を語れるかどうかが、自己目標管理が機能するかどうかの分かれ目になります。
第7回を通じて見えた次回への論点
第7回の対談は、自己目標管理が制度の設計以上に、経営者の姿勢とコミュニケーションの問題であることを改めて浮き彫りにしました。番組の最後には、目標を自ら設定できる社員を育てるためには、次に「強みを活かすマネジメント」というテーマに踏み込む必要があるという問題提起がなされ、これが後の回へとつながっていきました。
まとめ
自己目標管理とは、社員を管理するための仕組みではなく、社員が自分自身を経営者として扱うための仕組みです。目標は与えられるものではなく、自ら見つけ出すものである。第7回の対談を通じて、この当たり前でありながら見過ごされがちな原点を、ゲストとともに改めて確認することができました。