FP&A・経営管理

プロジェクト管理会計 VOL.21「FP&Aによる事業収益最大化戦略」

「プロジェクト管理会計」シリーズVOL.21のテーマは、FP&Aによる事業収益最大化戦略でした。放送では収益最大化という言葉が独り歩きしがちな中、実務で再現性のある打ち手として何を押さえるべきかが議論されました。本記事では、放送内容をベースに、FP&Aを使って事業収益を底上げするための具体的なステップを、実務で使える形に整理して解説します。

「収益最大化」を分解すると見えてくる3つの要素

収益最大化という言葉は抽象的に語られがちですが、分解すると「単価」「原価」「稼働率」という3つの要素に整理できます。VOL.21の放送でも、この3つのうちどこにテコ入れをするかを明確にしないまま議論を始めると、施策が総花的になってしまうという指摘がありました。例えば単価交渉ばかりに注力しても、稼働率が低いままでは利益は増えません。まず自社の収益構造がこの3要素のうちどこに課題を抱えているのかを特定することが、最初の一歩になります。

FP&Aが最初に着手すべきは「見える化」ではなく「定義合わせ」

多くの企業がFP&Aの立ち上げでダッシュボードなどの見える化から着手しますが、放送内では、その前に「粗利」「原価」といった言葉の定義を部門間で揃えることの重要性が語られました。理由は、部門ごとに原価に含める項目の解釈が異なると、いくら数字を可視化しても比較や合算ができないからです。実際、私が支援した企業でも、部門によって間接費の配賦方法が違っていたために、全社の粗利集計に半年以上の手戻りが発生したケースがありました。定義合わせは地味ですが、最も重要な工程です。

プロジェクト単位の収益管理と全社収益の橋渡し

プロジェクト型ビジネスでは、個々の案件の収益改善が積み上がって初めて全社の収益最大化が実現します。しかし放送で議論されたように、案件ごとの改善活動が全社の経営指標にどうつながっているかを示せなければ、現場の努力が評価されず活動が続きません。あるSI企業では、案件ごとの粗利改善額を月次で全社サマリーに反映する仕組みを作ったことで、現場のモチベーションが向上し、改善提案が自発的に上がってくるようになったといいます。橋渡しの設計がFP&Aの重要な役割です。

収益最大化のための予算体制はトップダウンとボトムアップの両輪で

放送内では、予算策定の進め方についても触れられました。トップダウンだけで予算を配分すると現場の実態と乖離し、逆にボトムアップだけに頼ると全社の成長目標との整合が取れなくなります。私自身、これまで200社を超える企業を見てきた中で、両者をすり合わせるプロセスに十分な時間をかけている企業ほど、期中の予算修正が少なく、収益目標の達成率も高い傾向がありました。予算策定はゴールではなく、経営と現場の対話のプロセスそのものだと捉えるべきです。

収益最大化を継続させるための振り返りの仕組み

収益最大化の取り組みは、一度の施策で終わらせず、継続的に振り返る仕組みが不可欠です。なぜなら、市場環境や顧客ニーズは常に変化しており、去年有効だった施策が今年も有効とは限らないからです。放送内でも、四半期ごとに収益改善施策の効果を検証し、効果の薄い施策は早めに撤退するという運用ルールを設けている企業の事例が紹介されました。振り返りの仕組みを組み込むことで、収益最大化が一過性のプロジェクトではなく、組織の習慣になっていきます。

実務に落とし込む際によくあるつまずき

収益最大化の取り組みを実務に落とし込む際、多くの企業が陥りやすいのが、施策の数を増やしすぎてしまうことです。理由は、複数の施策を同時に走らせると、どの施策が効果を上げたのか検証できなくなり、次の打ち手を考える材料が得られなくなるからです。私が支援してきた企業の中でも、最初の四半期は施策を1つか2つに絞り込んだ企業のほうが、その後の展開がスムーズでした。欲張らず、検証可能な単位で進めることが結果的に近道になります。

まとめ

VOL.21で議論された「FP&Aによる事業収益最大化戦略」は、特別な魔法ではなく、単価・原価・稼働率という基本要素に地道に向き合うことの積み重ねでした。収益最大化とは、派手な一手を打つことではなく、小さな改善を止めずに積み上げる仕組みを持つことである。この視点を持つ企業から、着実に収益体質を強くしていけるはずです。

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